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私はジュニアとしての活動を求めてエスカレーター式の私立高校への進学をやめ都立高校へと進学した。それも、学区内のもっとも自宅から離れた学校を選択した。地元の近くではすでにジュニアになったことが知れ渡っていたからである。私は学校では自分がジュニアであることを隠していた。

しかし、クラスの中に私を知る女子が一人いて、クラスで自己紹介をしているときに「あの人ジャニーズだ!」と言われてしまった。私は即座に否定した。当時はまだほとんど仕事らしい仕事もなかった時期なので、なんとかごまかせた。

だが、学校生活では孤独を味わわざるを得なかった。毎週日曜日は必ずレッスンがあり、友人と遊ぶことができない。それも理由を言うわけにはいかないから毎回嘘をついていた。また、だんだんと小さいながら仕事が増えるようになり、平日も休みがちになっていった。そんな環境でも決して友人が一人もいないわけではなかったが、心から真実を話せない自分が苦しかった。

さらにつらかったことは、同じクラスに好きな女子ができてしまったことである。当時ジャニーズは女子との付き合いを禁じられていた。もちろんなかにはうまくやっている仲間もいたが、私にはその禁止事項を破る勇気はなかった。その分、彼女に対する思いはどんどん増していった。それは学校の友人たちから見ても推測できたようだった。しかし私は彼らにはその事実さえも伝えられなかった。告白できない理由を問われたら答えられないからである。

ある日、友人の一人が私を呼び出した。その彼女のことが好きになったというのである。彼は「お前も彼女のことが好きなんじゃないのか?」とストレートに聞いてきた。私は「そんなことはない」と答えた。すると彼は「それなら彼女に告白する。それでもいいんだな?」と言った。

私の心は激しく揺れ動いたが、どうすることもできなかった。

「なんだ、いいじゃないか、俺は関係ないから、すぐに告白しちゃえよ」そう答えるしかなかった。そして、彼らはすぐに付き合い始めた。私は毎日、彼らが仲良くしているのを見て過ごさなければならなくなった。しかし、仕事のほうは徐々に増えてきている。ジュニアとして生きていくには、大切な時期にさしかかっていた。私はすべてを押し殺すしかなかった。

そして2学期も終わりに近づいた頃、私に大きなチャンスが訪れた。ある連続ドラマのオーディションに合格したのである。役柄は主人公である父の次男役。決して小さな仕事ではなかった。期間は1クール。撮影は12月から2月いっぱいまでの予定だった。その時私はもはや留年になることを悟った。それまでも仕事で何度も学校を休んでいた上に、今度のドラマは毎週火曜日から金曜までは拘束される。そのほかにも合間を縫ってコンサートや歌番組でのバックダンサーの仕事が入ることは十分予想されていたので、出席日数が足りなくなるのは確実だった。そして私は留年するほどなら、この際夜間高校に行って仕事中心の生活をしようと考えた。

選択できる学校はいくつかあった。有名なのは堀越だが、当時ジャニーズのタレントは記憶する限りでは誰も堀越には通っていなかった。みんなが通っていたのはM大学付属N高校夜間部だった。私もジャニーさんからそこを受けるよう勧められた。しかし私は、たとえつらくとも学業と仕事は分けていたかった。そのため、自分で学校を探し、ジャニーズであることを隠してC大学の付属の夜間高校に行くことに決めた。

そのときになって、私は始めてクラスメイトたちに自分がジュニアであったこと、3学期は学校に来れないこと、そして来年には転校することを告げた。彼女にも、ずっと好きだったことを告白した。すると彼女は、それから幾日か過ぎたある日に私の家に訪れ、餞別に、とプレゼントをくれた。中身は手編みのマフラーだった。私の目は涙でいっぱいになった。友人たちの中には泣きながら「なぜもっと早く言ってくれなかった」と言ってくれた奴もいた。そしてクラスメイトと担任の先生は、私のために教室でお別れ会を開いてくれた。そのときにもらった寄せ書きとわざわざ額に入れてくれたクラス全員の集合写真は、今も私の宝物だ。

それからの私は、どんどんジュニアとしての階段を駆け上っていくことになる。もはや私の目にはスターの座を掴む事以外何も映らなくなっていた。